2012年12月7日金曜日

BFAアジア選手権 総括


BFAアジア選手権が5連勝で終了しました。前号で台湾戦を振り返り、引き続き試合ごとにレポートするような気配を見せましたが、デーゲーム、ナイターの連続でその余裕もなく、結局は大会が終っての総括という形で報告を致します。
このブログの読者数が私の想像以上であることに非常に驚きを隠せないでいるのですが、この遠征で今回初めて選手が読んでいることも判明しました。
愚痴をこぼさなくて良かった・・・。
では、早速、大会総括を記載します。

VS パキスタン(13対0)
1戦目のスターティングメンバーを大幅に変更して臨みました。正直、パキスタンはまだまだこのような大会に参加して対等に戦うレベルではありません。
選手には「100%、勝つことはわかっている。しかし、参加しているパキスタンの選手に参考になるように必死でプレーをしてくれ」と話をしました。
選手は手を抜くことなく、真面目に試合をしてくれました。
先発の大瀬良、リリーフの新垣、秋吉には「今日の登板もあるが、以降の試合もあるのでしっかり投げるように」とも指示しました。事実、0点で乗り切り、特に大瀬良は9者連続三振といくら格下の相手といえども素晴らしすぎる内容で自信を深めてくれたと思います。また秋吉も国内以上の球威を披露し、次なる登板に期待を持たせてくれました。
雨による開始遅延にも拘らず必死で戦ってくれた選手を見て以降の試合もやれると確信し、ベンチ入りの殆どの選手が今大会に出場し、チームが更に結束した試合であったと感じています。

VS フィリピン(1対0)
雨が降り続く中、試合開始14時予定が17:00開始となり午前10時に休場入りしてから相当待たせられた大変なゲームでした。
国際大会では当たり前といえば当たり前ですが、この日が条件的には一番厳しかったです。台湾体育大学の学生が50人ほど動員され、内野を覆うシートをとっては、またかぶせと必死のグランド整備の結果、何とか試合ができたという状況でした。
この天候により7イニング打ち切りということを試合前から宣告されており、兎に角、早く試合を終えて明日の韓国戦に備え、コンディショニングを悪化させないことを念頭において戦いました。
とは言え、フィリピンの投手陣は近年それ程悪くなく、特に左投手が大会ごとに成長していることはよくわかっていたため、手を抜くことなく、主力中心のオーダーで挑みました。
スコア通りの僅差となりましたが、打撃陣が悪かったわけではなく、フィリピンがよく守ったという印象です。非常に集中力がありました。
試合前に「1対0」で勝つと冗談めいたことを言っていたことが本当になりました。
この試合では、5回のフィリピンの2死2,3塁の攻撃で打者が三振したボールを体に当てボールデットになったにもかかわらず、転がるボールをインプレーとミスジャッジした韓国の審判が特に目立ちました。
当然抗議に行き、判定は1塁の塁審の助言により覆り、アウトとなりましたが、明らかにこのルールを主審は知りませんでした。これは世界大会であってはならない大問題です。以降は主審をすることが無かったので、大会運営側も厳重注意し、配慮したのだと思います。
フィリピン相手に僅差で「何やっているんだ」とお叱りを受けるかもしれませんが、野球はこのようなことは良くおきます。結果的に最後は1対0で勝つということが実力の差であると理解して戴きたい。
特に選手に苛立つこともなく、フィリピンの善戦をあっぱれと評価したいと純粋に思っています。

VS 韓国(4対0)
過去の日韓戦の経験から闘志むき出しで韓国は来ると予想していましたが、連日の雨模様のせいか、今までの雰囲気とは違い、また相手がアマチュアということもあってか少し構えた姿勢で試合前からいたようでした。
全勝同士の戦い、勝ったほうが大きく優勝に近づく大一番、先発には1戦目押さえに起用した最年少の吉永をマウンドへ送りました。この大会に入る前から勢いを出すためにも韓国戦は吉永と決めていましたが・・・。期待に応えて非常に良いピッチングをし、4回途中まで良い投球をしてくれました。
打線も吉永を援護するように先制点を松本が叩き出し、リードを保ったまま中盤以降を迎える優位な展開に持ち込みました。
韓国は台湾戦で好投した左の片山を意識してか右打線をそのまま継続。ここで吉永から連日好投の秋吉へスゥイッチ。秋吉のストレートはうなっていました。前に打球を飛ばさせず、以降9回1死まで殆どパーフェクトに押さえ込みました。
打線も期待に応え、追加点を取り、思い通りの展開に持ち込み、最後は切り札片山を投入し、完全に力勝ちしました。明らかにチーム力の差が出たと感じました。
韓国選手が試合後、「誰もプロがいないのか?」と洩らしていたらしいです。

VS 中国(10対1)
日本ハムにドラフト指名された新垣を最終戦の中国戦に先発。大会前から「もし、台湾または韓国に負けた場合、この中国戦はメダルをかけた大変なプレッシャーになる。」と考え、「アマチュアに恩返ししたい」という意気込みある新垣を最終戦までとっていたといのが本音です。
既にほぼ優勝が決定的な状況でありあまり気合が入らない状況であったと思いますが、連日投手陣が良い投球をしていたので別の意味でプレッシャーがあったのかもしれません。
新垣は内野手の2失策もあり、調子に乗る前に先取点を許し、本来の出来からは遠い内容でした。が、流石に3回を最小の1点で凌ぎ、ドラフト選手としての片鱗を見せてくれました。
今大会初めて先行を許した打線は焦ることなく、この日もしぶとくチャンスをものにし、4番の林が待望の本塁打を放つなど一方的な展開となりました。
投手陣は、新垣の後を濱野、大瀬良、大城と危なげなく繋ぎ、最後は開幕投手の吉田が締めて完全優勝を遂げました。
吉田の胴上げ投手は、大会始まる前から決めていたので、予定どおりのローテーションで回るという投手の頑張りが際立っていたといえるでしょう。
マウンドで集まる選手を尻目に私は先ずは中国チームの監督に握手を求めに行きました。
国際大会において友好の気持ちを忘れてはいけないとバルセロナオリンピックチームの山中監督より教わりました。中国チームのアメリカ人監督は第1声に「おめでとう」と言ってくれました。流石BASEBALLだなと改めて感じた瞬間でした。

野手へのコメントが少ないのですが、野手は全員が其々の持ち味を出してくれ、特に名前を出して賞賛する必要はないかと思っています。
強いてあげれば、大学生で社会人以上の打球スピードを披露した富士大の山川が社会人打者に火をつけたといえるでしょう。
もう一つ、今回コンパクトな守備体型が功を奏しました。これほど見事にセンター前をことごとく阻んだのも、合宿時からの意識づけの勝利と思っています。
勿論、二遊間の守備力もありますが・・・。

連日の雨天の中、献身的なプレーを続けてくれた選手に非常に頭が下がります。
また、この選手団を叱咤激励し、プレーしやすい環境を作ってくれたコーチングスタッフには改めて深い信頼と感謝の念で一杯です。
多端主将の「プロに勝ったぞ!優勝しちゃったぞ!」という選手への最後の掛け声は素直な気持ちの現われでしょう。
本当にいいチームであったと思います。
帰国した解団の挨拶で選手に対して「野球界への還元」を御願いしました。ここで学んだことを真面目に来シーズンに表現してくれることを選手全員に期待します。
来年の東アジア競技大会、再来年のアジア競技大会とアマチュアが出場するであろう大会がありますので、このメンバーがこの大会で得た自信を秘め、更に活躍することを祈念して大会の総括とさせて戴きます。




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